聖徳太子のパズル

たんていくん2 聖徳太子のパズル
発売延期のお知らせ


たんていくん第2作「聖徳太子のパズル」製作関係者の皆様、楽曲・素材・各種ツール提供者の皆様、ご支援下さっている皆様、そして発売を楽しみにしておられるプレイヤーの皆様、未だ同作を完成出来ずにおります事を深くお詫び致します。

決して言い訳をするつもりはありませんが、これまでの経緯と現在の状況を、何度かに分けてお話ししようと思います。気が滅入るような暗い話ですが、もしご興味があれば下のリンクからお入り下さい。

 
 経緯と現況











ゲームプログラム本体はCD-ROMです。これに、動画(ニュース番組)の入ったDVD-ROM、アナログビデオテープ、捜査時の所持品となる白地図、六年前の日記、電話帳、市役所からのお知らせチラシが付きます。今回の商品撮影には間に合わなかったのですが、この他にバス運行時刻表、地元レンタルビデオ店の会員証が加わります。
また、犯人が主人公へ送りつけた封筒や送り状ラベル等も、全て再現して同梱します。

こういった小道具を私達迷宮倶楽部などよりもずっと上手く作れるゲームメーカーは、他にいくらでもあると思います。私達もそれはよく分かっています。しかし、本作で注目して欲しいのは「表面的な出来栄え」ではないのです。
これらを、捜査を助けるツールとして活用する事はもちろん可能ですし、大いにやって頂きたいと思います。電話帳で相手の住所を調べてみて下さい。白地図で行先を探してみて下さい。きちんと機能します。ですが、一方でツールその物の中から、何らかの手掛かりを得る事が出来るかもしれません。白地図に掲載されている地元企業の広告の中に、犯人が送って来た封筒のラベルの筆跡に、テレビCMのキャッチコピーに、報道レポーターの何気ない言葉の中に、重要なヒントや注目すべき矛盾点が見つかるかもしれません。(もちろん、何も出て来ないかもしれません。役に立ちそうなデータが得られても、実はプレイヤーの捜査を混乱させようと、作者が仕掛けた罠かもしれませんよ)

余談ですが、こうしたツール群から得られる(有益・無益いずれにせよ)たくさんの情報と、ゲームシナリオ内のデータを一つ一つきっちり合致させるのは、私達自身が予想していたより、何倍も困難な作業でした。意図しない小さな矛盾が見つかる度に、動画もシナリオも各種ツールも、頭から丸ごと作り直しになってしまいます。私達も初めての事で全く勝手が分からず、気が付けばとんでもない製作期間を要してしまいました。

※ずっと迷っていたのですが、動画は再生しやすいようDVD版とする事になりました。事件の舞台となる1986年の雰囲気を出すため、また、犯人が主人公宅へ送付して来た状態を正確に再現するため、アナログ(VHS)テープも付属しますが、こちらの中身は空(何も録画されていない)です。



1.ゲーム本体CD-ROM
2.ニュース番組DVD-ROM
3.アナログビデオテープ(中身は空)
4.南相模市汐実地区版電話帳
5.汐実地区の白地図
6.主人公が六年前に日記を書いたノート
7.南相模市役所からの「工事のお知らせ」チラシ
8.主人公宅に届いたラベル付き封筒



   
プロローグ

「何か変なの届いてるわよ」

帰宅した俺に、妻が大きな書類封筒を差し出した。自室に持ち込み、観察してみる。宅配便のラベル…差出人は「聖徳太子」となっている。悪戯か?宛先は「須藤和昭様」…確かに俺だ。実に汚い金釘流の字だ。封筒は厚みがあり、少々の重さもある。触った感じ、どうやら危険物ではなさそうだ。一応手袋をはめ、丁寧に封を切ってみる。覗き込むと、丸めた古新聞や発泡スチロールの砕片が詰まっていた。割れ物か?…中から出て来たのは、B5サイズの一枚の紙片と、そしてビデオテープだ。



紙片の方は、普通のコピー用紙だと思うが、そこにワープロで打たれた文字が並んでいる。粗雑なプリンターを使ったのだろうか、所々インクがかすれているが、まあ読めない程でもない。

==6年振りの再会を祝して、君が喜んでくれそうなゲームを用意したよ!!
最初の標的は誰かな?これから汐実で6件の殺人を行います!
各犯行の前には、標的となる人のヒントをお送りします。
一生懸命考えて、事件を未然に防いで下さい。
これらの殺人は、全て一日のうちに、まとめて行います。
あの小さな汐実島で、たった一日に6人も殺すんだよ。
食い止められなかったら、ベテラン警官として恥ずかしいよね。
僕は殺人鬼じゃないから、この6人はデタラメに選んだわけじゃありません。
みんな、殺されて当然な人達なんだ!
そして、最後の6人目は須藤君、そう、君自身だよ。
まさか、身に憶えがないなんて言わないよね。
もし全員を守れたら、その時は君の勝ちです。
須藤君の健闘をたたえ、君を殺すのだけは許してあげます。
もちろん、僕を捕まえた時も、君の勝ちとなります!
この殺人大会は、来る10月26日に開催しまーす!
当日は休暇を取って、自宅で待機しててね。
これは僕と君との二人だけで行うゲームです。
他人の手を借りたら違反でーす!
もし警察の仲間に話したら、無差別大量殺人に切り替えちゃうよ!
6年前の10月26日。
憶えてるよね。
君が人を殺した日だ!
雨天決行。当日をお楽しみに!==

何だこりゃ?ふざけた文面だが、これだけでは冗談とも本気とも判断が付かない。俺が人を殺した?何を言ってるんだコイツは?俺が誰を殺したって言うんだ?ざっと思い返しても、犯人を射殺した事なんて一度もないし、追跡を執拗にやり過ぎて容疑者を事故で死なせたとかの経験もない。逮捕した誰かが獄中で病死したとか、そういう事か?まあ、これはひとまず棚上げにしよう。

ビデオデッキにテープを入れ、再生ボタンを押した。テレビ画面に映ったのは、地元QEDテレビのニュース番組だ。早送りしてみる。何の変哲もない、普通の報道番組だ。30分の再生が終わると…後は何もない。単に一つの番組が録画されているだけだ。
だが、これが一体どうしたと言うんだ?犯人は俺に、このビデオを見ろと言いたいのだろうか。まあこれも、幸い犯人の言う決行日まで四日間ある。後でゆっくり見直してみよう。署の連中に話すかどうかは、その間に決めればいいだろう。





重要なのは、犯人がこれを警察署宛ではなく、俺個人に対して送って来たという事だ。もし犯人が本気であれば、文字通り最終的なターゲットは俺自身だろう。他の五人は、何かの意味で悪党なのか、理由はよく分からないが、犯人が直接恨みを持っている相手だとは限らない。俺のせいでとばっちりを受けるような物だろう。俺がこの殺人ゲームに参加し、それも奴の言うルールを遵守しないと、被害者は六人程度では済まないかもしれない。
いずれにしても、奴は警察官である俺に挑戦している。俺一人を追い詰めるために、他の五人を殺すぞと宣言しているんだ。五人が殺されるのは、全て俺のせいだと…。
六年前…そしてどうやら10月26日というのが、キーワードになっているらしい。六年前の10月…交番勤務だった俺が刑事に抜擢され、大喜びで捜査を始めた頃だ。現場の事なんて何も分からない俺は、ただ毎日先輩達について走り回っただけだ。重要な仕事を任されたりもしない。もちろん、全くの新米刑事である俺が、この頃自分の手で検挙した犯人は一人もいない…。



   
■前作からの変更点その1  アナログツール同梱

前作からの最大の変更点は、ゲーム自体がCD-ROM版となる事です。
ダウンロード版に比べてコストも手間もかかりますが、これは「各種捜査ツール」をアナログ化し、ソフトに同梱するのが目的です。

たんていくんは、従来型の推理AVGとは違い、「ゲームを進める事」に束縛されず、単に自分独自のやり方で「事件の真相を見抜く」事だけを考えればいいわけです。前作における新聞や電話帳といった捜査ツールは必ず助けになる物だとは限りませんし、使わなければクリア出来ないわけでもありません。
そうではなく、あなたが使いたい物を、好きな用途で使えばいいのです。結果として、一人一人違った方法論で捜査・推理を行えるのです。

前作について「あれだけ大量の新聞を、隅々まで読まされるのは苦痛だ」と評した方がいましたが、読みたくなければ読まなくても全然構いません。たんていくんでは、捜査方針は自分で自由に立てる事が出来るのです。不要だと思うなら、そこには一切手を触れなくてもいいのです。ただ、新聞を熟読する人、一部分のみ拾い読みする人、そして全く読まない人のそれぞれに、「違う捜査・違う推理」が生じます。誰に指示されるでもなく、自発的に考え行動する事を楽しんで欲しいのです。

どうも誤解されがちなのですが、私達は特定のアプローチ法だけが有利に展開するようには作っていないつもりです。プレイヤーは自分の考える通りに動けばいいのです。他人とまるっきり違うからこそ、推理は面白いのではないでしょうか。

このあたりの私達の考え方は、残念ながらまだ皆さんに十分伝わってはいないようです。実際に作れるかどうかは別として、理想を言えば私達は、捜査ツールの数はどんなに多くてもいいと思っています。役に立ちそうな物、全く意味のない物、一見使えそうに思えないけれど、実はそうでない物…いろいろなツールが存在すれば、それだけ「何を使い、どのように捜査するか」というバリエーションが増えていきます。

また、これらツール群にはもう一つ別の側面があります。それは、ツール自体を捜査対象に出来るという事です。電話帳の中にも、白地図の中にも、そしてビデオや封筒にも、「うっかりすると見落としてしまうような小さな、しかし重要なデータ」が隠れているかもしれません。十分注意して取り扱って下さい。


電話帳企業名版です。



電話帳個人名版です。



主人公の日記試作です。製品版もなるべく手書き風に仕上げる予定です。
こうしてアナログ化する事で、例えば誤字脱字にも意味を持たせたり、一部を破り取ったり、文字を塗りつぶしたりと、いろいろな事が出来ます。



犯人から送られて来るビデオテープです。三田村電器製。(おい…)
中身はニュース番組です。実際に私達で番組を製作・録画します。
CMまで入った豪華版です。
犯人はなぜ、ニュース番組を送って来たのでしょうか?大きな手掛かりになるかもしれませんし、逆に何の意味も持たない、迷宮倶楽部が仕掛けた罠かもしれません。



  
■前作からの変更点その2 イベント制導入

たんていくん独特のゲームシステムについては、プレイヤーの皆さんから多くの支持を頂きました。一方で、結果としてどうしてもRPG・AVGに比べて地味な展開になるという欠点が生じます。自由度を保ったままで、少々の華やかさを盛り込む事は出来ないだろうか…と考えた結果、今作では試験的に「イベント」を導入する事になりました。

今回の犯人は、「連続殺人計画」を実行していきます。前作のスタイルとは違い、プレイヤーが捜査を進めていく間に、時限性の犯行が次々と行われます。この犯行の一つ一つをイベントとして位置付けてみました。別に仰々しい展開があるわけではありません。また、それらはプレイヤーの意思や行動と無関係に、強制的に起こります。…おいおい、それじゃ普通のRPG・AVGと同じじゃないか…と思われるかもしれません。
しかし、これはあくまで「たんていくん」ですから、物語に付き合う必要はありません。それどころか、各イベント(連続殺人)が起こらないように阻止していく事こそが、今作の目的の一つなのです。

●ゲームの目的初級編:

各犯行の直前に送られて来る「予告状」の意味を解読し、事件の一つ一つを防いでいく。阻止出来なかった場合、現場の状況を検分したり、関係者の証言を聞く等してコツコツと捜査していく。


●ゲームの目的中級編:

起きてしまった事件を調査し、次に標的となるであろう人物・場所を推理し未然に防ぐと共に、それらの人々から直接証言を得て犯人像を絞り込んでいく。


●ゲームの目的上級編:

ゲーム序盤(各犯行が起こる前)に、全ての計画を看破し、犯人を逮捕する。


という感じになります。重要なポイントは、「各犯行を実質的なヒントとして捉え、それを手掛かりに捜査する手法」と、「各犯行を無視し、独自の推理・捜査を進める手法」の両方が可能だという事です。連続して次々に起こる殺人事件…しかし、それらを全く無視してゲームを進める事も出来るのです。さらに、そのどちらのやり方でも、有利・不利は特に変わりません。あなたの信じる、あるいは得意とする捜査スタイルで臨めばいいのです。前作同様の自由性を確保したまま、スリリングな展開を味わえると思います。

とびきり優秀な推理力を持ったプレイヤーなら、ほとんど何も起きないうちに(笑)犯人を特定出来るかもしれません。すぐにクリア出来てつまらないと思われるかもしれません。しかし、それが迷宮倶楽部の目標とする推理ゲームなのです。平凡な方法論で長時間苦しむ人達を尻目に、あなたの自慢の「推理力」で、混沌とした事件を華麗に解決して下さい。

それが、新しい「たんていくん」です。